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【高校地理】2-9. 海岸の小地形(リアス海岸、フィヨルドなど) | 2. 世界の地形

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公開日: 2020年7月11日

#高校地理
#地形
#フィヨルド
#リアス海岸
#海岸地形

「高校地理の授業動画」世界の地形第9回

河川がつくる小地形に引き続き、
今回の動画では「海岸ではどのような地形が見られるの? 」
を見ていきたいと思います。

海岸で見られる小地形、
でき方によって大きく3つに分類すると
全体像はこのようになります。

砂浜海岸、沈水海岸、離水海岸と分けられて、
その中にまた色々な地形があるイメージですね。
順を追って説明します。

先ずは一つ目、砂浜海岸。
砂浜の海岸と聞くと、海水浴に行くビーチのような景色が思い浮かびますが、
確かにそれも砂浜海岸の一種なのですが、地理学で砂浜海岸と言った時には、
「海の流れや波によって運ばれてきた砂が堆積してできた地形」を意味します。
波がこう、押したり引いたりを繰り返して砂を積もらせたり、
海の流れで砂が運ばれたりしてできた地形のことです。

【砂嘴】
先ずは、「砂嘴(さし)」と呼ばれる地形です。

砂嘴の嘴は「嘴(くちばし)」という字なのですが、
このように積もった砂が陸地から伸びて、先端が鳥のくちばしのように
内側に曲がっている地形のことを砂嘴といいます。

沿岸を流れる海流を「沿岸流」というのですが
この沿岸流によって砂が運ばれると、
砂が横に堆積して伸びていって、砂嘴が形成されます。

具体例としては、静岡県の三保の松原、北海道東部の野付半島などが有名です。

さて、この砂嘴、こうやって外側の海から内側を守ってくれる
天然の防波堤の役割を果たしてくれるんですね。
そのため砂嘴の内側は波が穏やかで、
船が入ってくる港として都合がいい場所なんですよ。

日本を代表する漁港である静岡県の清水港は、ここにあるんですけれど、
砂嘴である三保ノ松原が防波堤の役割を果たしてくれるから、
というのも、清水港が発達した理由の一つでもあります。

【砂州】

続いては「砂州」です。
先ほどの砂嘴が発達して、向こう岸につくくらい細長く伸びたものが「砂州」と呼ばれます。

砂州の「州(す)」という漢字、三角州の「州(す)」と一緒ですが、
この「州」という漢字自体、積もってできた場所、という意味があるので、
この漢字を含む地形を見たら、「土砂が堆積してできた地形なんだろうな」と推測できます。

代表例としては京都府の天橋立、鳥取県の弓ヶ浜、などがあります。

【沿岸州】

さらにこの砂州が陸地から離れたところにできたものを、
「沿岸州」といいます。

こんな風に波が砂を運んできて積もったものが、地上に出ることで沿岸州が形成されます。
さらに、このように波が砂を積もらせて高くなった場所は、
海水面が下がって全体が陸地になると、浜堤(ひんてい)と呼ばれる微高地、
周囲よりちょっとだけ高い土地として利用されます。
この浜堤、動画の後半でまた登場します。

日本では大きな沿岸州は発達しておらず、
沿岸州がはっきり見られる場所としてはアメリカの東海岸などが代表的なのですが、
そこまでの具体例は覚える必要はないでしょう。

【潟湖(ラグーン)】
続いて、潟湖(ラグーン)です。
伸びた砂州によって海が分断されて、新しく作られた湖のことをいいます。

代表例としては北海道のサロマ湖、関東の霞ヶ浦などがあります。
それぞれ、湖の大きさとしては琵琶湖に次いで日本で3番目と2番目に大きい湖です。

【陸繋島】
最後は、陸繋島です。
陸繋島の「繫」という漢字、「繫ぐ」という字ですが、
砂州によって陸地とつながった島のことをいいます。
そして、陸地と陸繋島をつなぐ砂州のことを、陸繋砂州(トンボロ)と言います。

代表例としては、北海道の函館山などです。
函館市は、このトンボロの上に立地している都市なのですが、
市街地のあるトンボロは平坦で、
陸繋島である函館山は標高300mくらいありますので、
この山から見ると、函館市の夜景が一望できます。
「100万ドルの夜景」と言われる有名夜景スポットでもありますが、
美しい夜景が見られる背景には、このような地形的特徴もあります。

<沈水海岸>
分類の2つ目は、沈水海岸です。
「海岸が水に沈む」と書いて沈水海岸ですが、海水面が上昇したことで、
あるいは土地が沈降したことで、それまで陸地だった場所が
海の下に潜ることで形成された地形のことを指します。
具体例として、リアス海岸、フィヨルド、エスチュアリーの3つを見ていきます。

【リアス海岸】
沈水海岸の1つ目、リアス海岸です。

もともと山だった場所が海に沈むことで、
谷の部分が海になって、このようにぎざぎざの海岸線になってる場所のことです。
川が削る谷を「V字谷」と言いましたので、リアス海岸は、
V字谷が海に沈んで形成された、とも言えます。

山に囲まれて波が穏やかで、水深も深いので、
牡蠣や真珠、わかめなど、様々な養殖業が盛んです。

一方で、リアス海岸は、奥に行くほど狭く浅くなるので、
津波が来たときには流れが一箇所に集中して、
津波が急激に高くなりやすいという危険性もあります。
2011年3月の東日本大震災の時、東北地方は津波で甚大な被害を受けましたが、
こうしたリアス海岸の特徴も、被害が大きくなった一因と考えられています。

リアス海岸が見られる代表例は、スペインのリアスバハス海岸。
リアス海岸という名前の由来になった場所ですが、このような場所です。
そして、日本の東北地方、三陸海岸などです。

リアス海岸の例として、三重県志摩半島の英虞湾をGoogle Earthから見てみましょう。
非常に複雑な海岸線が見られますが、もともと山地だった場所が海に沈んだため、
このような地形になりました。

英虞湾は真珠の養殖で有名な場所なのですが、
山に囲まれて波が穏やかであることに加えて、
山から流れてくる水が牡蠣の成長に必要な栄養分をたっぷり含んでいる、
という点も養殖に向いていました。

海の上に何かがたくさん浮かんでいますが、
これらは、真珠を生産するあこや貝を育てているいかだです。

【フィヨルド】
沈水海岸2つ目、フィヨルドです。

こんな風にギザギザした海岸線のことをいうのですが、
リアス海岸と比べられることも多いので、
比較する形で説明していきたいと思います。

リアス海岸とフィヨルド、
どちらも、ギザギザした複雑な海岸線を持っています。

違いとして、
リアス海岸は、山を川が削ってできた谷、つまりV字谷が沈んだもので、
フィヨルドは、山を氷河が削ってできた谷、こういう谷をU字谷というのですが、それが沈んだものです。

何で削られたかが違うので、形が違います。
川が削ったV字谷はこういう形で、氷河が削ったU字谷は、
氷河自身の重さでずるずるずるっと削っていくのでこういうUの形になります。

そのため、
リアス海岸は奥に行くほど浅く狭くなりますが、
フィヨルドは水深が深くて、湾の幅が変わらないという特徴があります。
そのため、フィヨルドのほうが大きな船が奥まで入っていけます。

また、フィヨルドは氷河でできたものなので、
そもそも氷河があった場所、ノルウェーなどの高緯度地方でしか見られません。
一方で、リアス海岸は広い範囲で見られます。

【三角江(エスチュアリー)】

枕水海岸の3つ目は三角江(エスチュアリー)です。
このように、河口の部分が大きくラッパ状に開いた地形のことをいいます。

よく似た言葉に「三角州」はありますが、別物なので注意してください。
三角州も三角州も、どちらも河口部分、川が海に出るところで形成されるのですが、
三角州っていうのは、川が運んできた土砂が、堆積して、つもった陸地の部分が三角形になっている場所ですが、
三角江っていうのは、川の出口がこんな風にラッパ状に開いている入江をいいます。

どっちも「三角」って言葉が入っていますが、この「州」っていう漢字は堆積って意味でしたね。堆積した土砂の形、陸の形が三角になっているのが三角州、川の方の形が三角になっているのが、三角江です。

紛らわしいので、ここからは「エスチュアリー」を使います。
このエスチュアリー、どうやってできたかと言うと、
エスチュアリーでは、大きな港湾や都市が発達しやすいという特徴があります。
ただこのエスチュアリー、日本には存在しません。
後背地は広い平野であるため、大きな港湾や都市が発達しやすい。水深が深い、なぜならば。。。そのため、大きな船が内陸まで入りやすい。これがヨーロッパの都市の発達に大きく影響を与えた。日本には存在しない、なぜならば
エルベ川(ドイツ)、テムズ川、ラプラタ川

<離水海岸>
分類の最後は、離水海岸です。
沈水海岸とは逆に、「海岸が水から離れる」と書いて離水海岸です。
海水面が低下、あるいは土地の隆起によって、それまで海だった場所が
陸地にあらわれることで形成された地形のことを指します。
具体例は、海岸平野と海岸段丘の2つです。

【海岸平野】
先ずは海岸平野。
千葉県の九十九里浜が何と言っても有名です。
約56㎞にわたってこのようにまっすぐな海岸線が続きます。
この砂浜の部分だけでなく、その後ろの平地も含めて、海岸平野です。

この海岸平野、近づいてみると、海岸と並行して
このように集落が直線的に形成されている場所があります。
「納屋集落」と呼ばれる集落で、
波によって形成された周囲よりすこしだけ高い土地、動画の前半でも出てきた浜堤ですね、
これの上に発達した集落であるため、直線的に並んでいます。
「納屋」というのは、漁をするために道具をしまっておく小屋のことですが、
海岸沿いに並んだ納屋が起源であることから「納屋集落」と呼ばれます。

千葉県は、今から約7000年前、縄文時代にあたる頃ですが、
海水面が今よりも2〜3mくらい高くて、このあたりまで海でした。
海の底には土砂がたまって平らになり、その後、土地が隆起して現在の場所まで、海岸線が下がりました。その結果、当時は海の底だった平らな場所が陸地になっているのが、九十九里浜を含む千葉県東部なんですね。(参考:http://quaternary.jp/QA/answer/ans010.html

【海岸段丘】
もう一つの離水海岸は海岸段丘です。
前回出てきた河岸段丘と同じく、海岸段丘も「洪積台地」に分類される地形です。
波がざっぱーん、ざっぱーんと打ち付けて削るところで、
このような切り立った崖ができます。こういう崖を海食崖といいます。
で、土地が隆起したり、海水面が下がると、海底の平らだった場所が陸地になって、
このように階段状の地形になります。
これが海岸段丘で、具体例としては室戸岬(高知県)などがあります。

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