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【高校地理】2-8. 河岸段丘と台地 (洪積台地) | 2. 世界の地形

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公開日: 2020年7月03日

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#地形

高校地理の授業動画、世界の地形、
第8回、河岸段丘と台地(洪積台地)です。

今回のテーマは「洪積台地って何?河岸段丘ってどうやってできるの?」 です。

地形でつまずいてしまう理由の1つは、
ややこしい言葉がたくさん出てくることなんですね。
説明を読んでもイメージが沸かなかったり、
漢字を見ても意味の推測しにくい言葉がたくさん出てくるので
こんがらかってしまいます。

と同時に、意味を正しく理解していれば単語で答えられるような問題、
「こうこうこういう地形を何と言いますか?」(沖積平野!)
みたいな問題も、模試や入試で出されやすい分野でもあります。

なので、地形を勉強するコツの一つは、
言葉の意味を曖昧なままにしないで
しっかり確認しながら勉強していくことです。

というわけで、今回の動画はこのような構成です。
1 用語の整理
ここで、洪積台地って何っていう話をします。そして、河岸段丘というのは洪積台地に分類されることが多いのですが、小地形の中で最も形成過程が分かりづらいと思われる河岸段丘について、その形成過程をやや詳しく説明したいと思います。

2 河岸段丘の形成過程と土地利用
3 台地の形成過程と土地利用
です。

【1 用語の整理】

ここでは、分類がごちゃごちゃしている「平野」に関する用語を整理します。

平野は、大きく2つに分類されます。
「侵食平野」と「堆積平野」です。

「侵食平野」とは削られることで平らになった土地のことで、
「安定陸塊」で登場した準平原や構造平野がこれに該当します。

もう一つの「堆積平野」というのは、
土砂が積もって平らになった土地のことです。
この堆積平野はさらに「沖積平野」と「洪積台地」に分けられます。
「沖積平野」というのは、川によって運ばれた土砂が積もってできた土地のことで、
前回動画で出てきた谷底平野、扇状地、氾濫原、三角州などが該当します。
約1万年前から現在までを「沖積世」というのですが、
この「沖積世」に形成された平野であるため「沖積平野」といいます。

もう一つの堆積平野が、今回の動画のテーマである「洪積台地」です。
この言葉、教科書によっては載っていない教科書もある古い言葉ではあるのですが、
入試で今でも問われることがあるため、おさえておきたい単語の一つです。
沖積世の前、今から約250万年前から1万年前くらいまでを「洪積世」(同じ時代を最近では「更新世」と呼ぶことが多い)のですが、
その頃に、当時の沖積平野だった場所、当時の谷底平野や扇状地などが、
隆起して出来た地形のことを「洪積世に高くなってできた場所」ということで
「洪積台地」といいます。
現在の沖積平野よりも一段高い場所となっているのが洪積台地です。
具体例が、今回説明する河岸段丘や台地です。

沖積平野も洪積台地もどちらも堆積平野で、
川が運んだ土砂でできた点は一緒なのですが、
沖積平野は、川が最近(と言っても数百年とか数千年というスケールですが)できた場所、
洪積台地は、川が昔作った平野が隆起して一段高くなった場所、と整理しましょう。

【2 河岸段丘の形成過程と土地利用】

河岸段丘とはこのような地形のことです。
こちらの写真、関越自動車道で東京都から新潟県に向かう途中、
群馬県北部の沼田市周辺、
河岸段丘が見られる場所として日本で最も有名な場所です。

このように河川の周辺が階段状になっている場所、
このような場所を河岸段丘といいます。
階段の横の部分、この平らな部分を段丘面、
階段の縦の部分、この急な斜面の部分を段丘崖と言います。
どのようにしてこの地形が形成されるのか、
模式図を使って解説します。

形成されるステップとしては、
1 谷底平野の形成(河川の側方侵食)
2 土地の隆起 or 海水面の低下
3 河川の下方侵食
4 一段低い谷底平野の形成
を繰り返すことで河岸段丘が形成されます。

1ステップずつ説明していきます。

山の間に川が流れていると、土砂が溜まって谷底平野、
あるいはこくてい平野とも思いますが、
これが形成されるということを前回の動画でお伝えしました。

注目して欲しいポイントは、谷底平野の幅と言うのは、
そこに流れている川そのものの幅よりもずいぶんと広いと言う事なんですね。

これは何故かと言うと、谷底平野では、
場所によって、あるいは直によって、川はあっちに流れたりこっちに流れたり、
ぐにゃぐにゃと蛇行して、側面を削ってきたからです。

曲がって流れている川というのは、
カーブの外側ほど、水がぶつかって削る力が強くなりますので、
蛇行する幅がどんどん広くなっていって、
このように谷底平野が成長していくという性質があります。

実際の谷底平野を航空写真見てみるとイメージしやすいかと思います。

こちらの川をご覧ください。
谷底平野の上を大きく蛇行して流れていますよね。
ある場所ではこのように山にぶつかっているところもあれば、
ある場所ではこのように広い河原が形成されている場所もあります。
例えば、このようの川のカーブの外側が山にぶつかっているところでは、
ここの山が削られていってそのうち崩れるかもしれません。
すると川のカーブの部分がやや下流に移動して、今川が流れている部分は地面になる。
こんなことを繰り返して、川の流れが十分弱くなるまで、
谷底平野は広くなっていきます。

こうして谷底平野が形成された後、
河岸段丘ができるための次のステップは、
下方侵食が起こることです。
下方浸食と言うのは今までよりも河川が下に削る力が強くなって
今までよりも深く削られるようになることです。

川が下に深く削るようになると、
またそこから川が側面を侵食していって、
新たな谷底平野が作られて、
階段状になるというわけです。

では、何が起こると河川の下方侵食力が高まるのか。
それが、土地の隆起もしくは海水面の低下です。

例えばこの川が流れている土地が盛り上がると、
滑り台の傾斜がキツくなるようなイメージで、
川の流れが速くなります。
そうすると、川が川底を削る力も強くなって下方侵食が進みます。

また、気候の変化などによって海水面が下がることでも同じ効果があります。
海水面と川の上流の流れなんて関係が無いように思うかもしれませんが、
海水面が下がれば、河口付近での川の勢いが増して深く削られるようになります。
そうするとそこより上流も深く削られて、ということを繰り返して、
上流部の川の流れにも影響を与えるんですね。
土地の隆起もしくは海水面の低下、これらがどちらも河川の下方侵食力を強くします。

というわけで、河岸段丘は、
1 谷底平野の形成
2 土地の隆起 or 海水面の低下
3 河川の下方侵食
4 一段低い谷底平野の形成
を繰り返すことで形成されるのが理解できたでしょうか。

この1〜4の形成過程が理解できれば、
河岸段丘では、上の方の段丘面ほど年代が古いということは
すぐに分かると思います。

【河岸段丘の土地利用】

段丘崖については、
急斜面であるためにあまり利用されていません。
航空写真で見ても森が広がっていますが、
地形図だと針葉樹林や広葉樹林の地図記号が広がります。

一方で、段丘面は平らなので人間生活がよく見られます。
上の方の段丘面では、水が得にくいので、
果樹園や畑、戦前であれば桑畑になっていることが多く、
一番下の段丘面、つまり谷底平野ですが、
ここは水が得やすいので水田になっていることが多いのですが、水害の危険性も大きい場所です。

【台地の形成過程】

続いては、もう一つの洪積台地、「台地」です。
「台地」という言葉自体は、周りの土地よりも一段高くなっている土地のことを指して、「台地」と「段丘」は地形学的には全く同じ意味なのですが、
日本の台地は「洪積台地」に分類される台地が多いのでここで扱います。
つまり、洪積世にできた扇状地や三角州が隆起して、
そこが川で削られて、残った場所が台のようになっているということです。

東京都西部の「武蔵野台地」や、千葉県北部の「下総台地」などが代表例です。
隆起三角州に相当します。

そこだけ盛り上がったわけではなく、
海水面が下がったり土地が隆起したりした結果、
川が地表を削って川沿いの標高が下がり、相対的に削られなかったところが台のように残った。

きれいにテーブルみたいな形で残っているわけではなく、
地表面は雨水によって侵食されるため、
先端部はアメーバ状の形になっていることが多い。

以前は扇状地だったりした土地が、
隆起して一段高くなった場所のことです。

【台地の土地利用】

台地の模式図をこのように書いてみると、
台地の上の面が「台地面」、斜面の部分が「台地崖」、
下の面が「崖下(がいか)」と呼ばれます。

人が住みやすい場所はどこだと思いますか?
答えは、「崖下」です。
台地は、もともとは河川が運搬した土砂が堆積した土地が隆起した場所なので、
基本的に水はけがいい場所です。
そのため、台地の上、台地面では水が得にくいため、
集落の立地は遅れて、畑などに使われます。

一方で、台地の崖下では、台地を通った水が湧き出るため、
水が得やすく、集落が立地しやすい場所になりまし。

実際に、千葉県の下総台地をGoogle Earthで見てみると、
このように台地のへり、崖下に集落が集中していることが分かります。

ただし、台地面に集落が立地することも例外的にあります。
それは、このように台地の中に地下水が溜まっている「宙水」がある場所です。
このような場所では、宙水を利用して、台地面にも集落が立地します。

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