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【高校地理】3-11. H気候(高山気候)の自然と暮らし | 3. 世界の気候

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公開日: 2021年7月04日

高校地理の授業動画、「世界の気候」第11回は「H気候(高山気候)の自然と暮らし」です。

【目次】
0:00 イントロダクション
0:14 高山気候の定義と分布
1:24 常春の気候
2:31 高山都市
3:14 アンデスの伝統的な衣服
3:48 アンデス山脈の農牧業
6:45 チベット高原の家畜
6:59 アルプス山脈の移牧

【確認問題】
https://forms.gle/qPHggijNMYyhqPF38

【今回の動画の内容を文章と画像で確認されたい方はこちら】
https://www.geography-lesson.com/highland-climate/

【動画の目次はこちらのホームページから】
https://www.geography-lesson.com/

#地理b #気候 #ケッペン #気候区分 #高校地理 #H気候 #高山気候 #チューニョ #H気候 #移牧

「H気候って何?」とのことで、
今回の動画は3つのパート。

H気候の定義と分布
H気候の自然環境
H気候の農牧業

という構成で解説します。

1.H気候の定義と分布

先ずは定義と分布からです。

H気候は高山気候ともいい、標高が高い場所を表す気候です。

地図上ではこのような場所にH気候が見られます。
北米大陸ではロッキー山脈、南米大陸ではアンデス山脈、ヨーロッパではアルプス山脈、アジアではチベット高原、それからアフリカではエチオピア高原など、それぞれの大陸の中で標高の高い場所がH気候に分類されます。

H気候は、もともとケッペンの気候区分には無かったものなので、これらの場所は、ケッペンの気候区分だと、Cw気候とかET気候とかに分類される場所なんですね。

ですが、例えば、アンデス山脈と北極海沿岸では、どちらも同じET気候に分類されるのですが、自然環境も、生活の様子も全然違うんじゃないか、という指摘がありました。

そこで、ケッペンではなく別の研究者によって後から加えられた気候区分が、このH気候なります。

ケッペンの場合、気候区分は降水量と気温から厳密に計算されましたが、H気候は、かっちりした数式みたいのがあるわけではなく、標高2000mとか3000m以上の場所が広がっているところ、というざっくりした定義となっています。

2.H気候の自然環境

続いてのパートは、H気候の自然環境です。

H気候は「常春」の気候とも表現され、年間を通して涼しい気候であるという特徴があります。

例として、高山気候の代表例、エクアドルの首都キトの雨温図を見てみましょう。
1年を通して平均気温が10℃より少し高いくらいで、赤道直下にある街なのに、非常に涼しくて、季節による気温の変化がほとんどありません。

キトは、標高約2,800mに位置する都市です。
気温というのは、標高が高くなるほど低くなり、標高が100m上がると、気温は平均で約0.65℃低下するのでした。
これを、気温の平均逓減率と言いましたが、これを当てはめて計算すると、標高2,800mのキトでは、平地よりも約18℃も気温が低いことになります。

このように、標高が高いために年間を通して気温が低い高山の気候が、まるで一年中春のような気候だということで、「常春」と表現されます。

熱帯が広がる低緯度地帯では、標高が高い方が涼しくて過ごしやすいため、高山気候の場所には、古くから高山都市が発達してきました。

高山都市の例としては、今見たエクアドルの首都キトのほか、ボリビアの首都ラパス、コロンビアの首都ボゴタ、古くはインカ帝国の首都であったペルーのクスコ、などが挙げられます。

ただし、こうした高山都市でも、近年は増え続ける自動車の排気ガス等によって、大気汚染が生じています。
特に大気汚染が深刻な街として指摘されているのが、ボリビアの首都ラパスです。
ラパスは、地形的にもこういうすり鉢状の、アンデス山脈に囲まれるように谷間にできた街です。
そのため、排気ガスがどんどん街の中に溜まり続け、しかも酸素が薄いのでガソリンが不完全燃焼することも多くて、人々の健康への影響も心配されています。

H気候は高い山の上にあるため、昼間は日差しが強いのですが、夜はぐっと気温が下がって寒くなります。
そのため、年較差は小さいのですが、日較差は大きい気候です。

また、空気が薄いために、紫外線が非常に強いという特徴もあります。

そのため、アンデス山脈の高地では、「ポンチョ」といって、寒かったり暑かったりしても重ね着で調整できて、日差しを防ぐためにつばの広い帽子が、伝統的な衣服となっています。

3.H気候の農牧業

最後のパートは、H気候の農牧業です。
標高の違いによる気温差を活かした農牧業が各地で行われています。

平地であれば、何十キロも南北に移動しないと、緯度による気温の変化はありませんが、山地では、標高が数百m変わっただけで、つまり、一日の中で歩いて移動できるような距離の中で、気温が大きく変化します。

そのため、山地に生える植物も、低地から高地にかけ、熱帯植物から寒帯植物へと垂直的に変化していきます。

例えば、赤道に近いアンデス地方では、標高が低いところでは熱帯雨林が見られるのに、標高が高くなるにつれてだんだん歳の高さが低くなって、標高3000メートルぐらいになると、森林限界といって、木が生えなくなります。
そして、山頂付近には氷河が見られます。

こうした変化に合わせて、農業も、標高に応じた作物栽培がされています。
標高0〜1000mくらいの標高が低くて暑い場所では、 カカオ、バナナ、綿花やサトウキビなど、熱帯の作物が栽培されていて、もう少し高いところではトウモロコシ、そして、標高3000mに達するような場所ではジャガイモが主に栽培されています。

ジャガイモやトウモロコシはアンデス地方が原産地なのですが、特にジャガイモは、人間の主食の中で、最も標高が高い場所でも育つ丈夫な作物です。インカ帝国の時代から、今でもアンデス地方の主食になっていて、寒くてやせた土地でも育つことから、ヨーロッパに伝わった後、世界中で広く栽培されるようになりました。

ただしジャガイモは、そのままだと水分が多くて長期間は保存できない、という難点があるんですね。
私もジャガイモをスーパーで買ってきて、そのままレジ袋に入れて置いたりしたがために、芽が出たりカビが生えたりしてダメにしてしまったことがあるんですが、お米や小麦と比べたら、ジャガイモは保管がずっとデリケートな作物です。

そこでアンデス地方では、ジャガイモを長期間保存するために、チューニョという食べ物が作られてきました。

どんなものかというと、先ず、ジャガイモを外にバラバラと広げておきます。
そうして夜になると、気温の日較差の大きなアンデスでは、夜中の気温が氷点下まで下がって、ジャガイモの中の水分が凍ります。
そして、朝になってまた気温が上がって、凍った水分が溶けてきたら、足でジャガイモを踏んで、中の水分を押し出します。
そしてまた夜になったら凍らせて、朝になったら踏みつけて水分を抜いて、ということを繰り返すと、カラカラに乾燥したジャガイモ、チューニョが出来あがります。

食べるときは水で煮て戻すのですが、乾燥した状態だと何年もそのまま保管できる優れた保存食になります。

また、標高4000mに達するような場所では、リャマやアルパカといった家畜が放牧されています。

リャマは主に荷物の運搬に使われ、アルパカの毛はモコモコで暖かく、高地の寒さを防ぐ衣服の材料として欠かせないものになっています。

なお、リャマやアルパカはアンデス山脈の家畜で、同じ高地でも、ヒマラヤ山脈では、ヤクという牛科の動物が、荷物を運んだり毛皮を取ったりするために飼われています。

そして、アルプス山脈が位置するヨーロッパのスイスでは、移牧といって、季節に応じて家畜を飼育する標高を変えるやり方があります。
夏の暑い時期には、標高の高い場所で乳牛などを育てて、冬になると、今度は標高の低い谷間に移動してくる、という牧畜の形態が、移牧と呼ばれます。

この、夏の間の標高の高いところの牧場は「アルプ」と呼ばれ、アルプス山脈は、このアルプがたくさんあることから、アルプスと名付けられました。

「アルプスの少女ハイジ」がおじいさんと一緒に暮らしている山の上の高原、あれが「アルプ」ですね。

はい、今回の動画は以上となります。
確認問題にチャレンジしたい方はコメント欄からURLにアクセスしてください。
また、感想や質問などもお気軽にどうぞ。

それではまた次回!

説明文の続きを見る

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