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【高校地理】3-9. C気候(温帯)の自然と暮らし | 3. 世界の気候

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公開日: 2021年5月05日

高校地理の授業動画、「世界の気候」第9回は「C気候(温帯帯)の自然と暮らし」です。温帯の4つの気候帯の定義と分布、土壌と植生、農業の特徴、暮らしなど、前回までの熱帯、乾燥帯に引き続き、温帯を詳しく見ていきます。

【目次】
0:00 イントロダクション
0:12 温帯の定義
1:02 地中海性気候(Cs)
4:52 温暖冬季少雨気候(Cw)
7:00 温暖湿潤気候(Cfa)
8:13 西岸海洋性気候(Cfb)

【確認問題】
https://forms.gle/tb7w6TEnNEQWPiqJA

【今回の動画の内容を文章と画像で確認されたい方はこちら】
https://www.geography-lesson.com/temperate-climates/

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温帯というのは、
最寒月平均気温、一番寒い月の平均気温が18度未満、-3度以上、という場所です。
暑すぎず寒すぎず、人間の活動が最も盛んな気候です。

この温帯、詳しく見るとさらに4つの気候帯に分けられます。

夏に乾燥すると、地中海性気候、記号はCs。
冬に乾燥すると、温暖冬季少雨気候、記号はCw。
年間を通して降水が見られ、かつ
最暖月平均気温が22℃以上となると、温暖湿潤気候、記号はCfa。
最暖月平均気温が22℃未満となると、西岸海洋性気候、記号はCfb。
となります。

この4つの温帯それぞれについて、分布や生活の特徴などを
解説したいと思います。

1.地中海性気候(Cs)

最初は、夏に乾燥する地中海性気候、Cs気候区です。

世界地図上での分布は、このようになります。
北半球と南半球、どちらも緯度30度~45度くらいの場所にみられる気候です。

なぜこの緯度にCs気候は分布するのか、
大気大循環のモデルから考えてみます。

緯度30度~45度くらいというのは、
この図だとこのあたりに相当します。
北半球だと、
夏には北上してきた亜熱帯高圧帯の影響で雨が少なくなり、
冬には南下してきた亜寒帯低圧帯の影響で雨が降る、という緯度です。

ここより緯度が低くなると、
一年中、亜熱帯高圧帯の影響で乾燥するB気候になってしまいます。
そのため、前回動画で学んだB気候の分布と重ねてみると、
BS気候のすぐ外側に接するように、Cs気候が分布していることが分かります。

ただ、このモデルだけだと
同じ緯度の場所は全部Cs気候になってしまいそうですが、
実際には、大陸の西側にしかCs気候は見られません。
どうしてかというと、
大陸の東側には暖流が流れていて水蒸気が供給されやすい上に、
夏には海から陸への季節風の影響が大きくて、夏でも雨が降るためです。

そのためCs気候の分布は非常に限られており、
大きく分けて世界で5か所しかありません。
この5箇所は是非、全て頭に入れましょう。

1か所目、名前のとおり、地中海沿岸から西アジアにかけての地域です。
2か所目、アメリカの西側、カリフォルニア周辺です。
3か所目、南米大陸の西側、チリのサンティアゴ周辺です。
4か所目、アフリカ大陸の先っちょ、南アフリカ共和国のケープタウン周辺です。
5か所目、オーストラリア南部、パース周辺です。

Cs気候は夏に晴れの日が続くため、特に地中海沿岸は、
夏休みのバカンスの保養地としても人気があります。
例えばエーゲ海にあるミコノス島は、世界有数のリゾート地。
強い日差しを防ぐため、石灰岩を塗った白壁の美しい建物が並ぶことでも有名です。

とは言え、気温の高くなる夏に雨が降らないと、植物は困ってしまいます。

では、Cs気候ではどんな作物を栽培しているのか、Google Earthでスペイン南部に行ってみましょう。山の斜面一面に木が生えていますが、これはオリーブ畑です。オリーブは、夏の乾燥に耐えられるように小さくて硬い葉っぱを持っており、Cs気候の植生である硬葉樹林の代表的な樹種となります。
オリーブに加え、同じく硬葉樹林であるコルクなどがCs気候では栽培されています。

他にも、乾燥に強い作物として、オレンジやレモンなどの柑橘類や、ぶどうの栽培も盛んで、ぶどうから作るワインの生産でも地中海沿岸の国々が上位に並びます。

高校生の皆さんはまだ飲めませんが、スーパーのワインコーナーに行くと、
イタリア、フランス、スペインなどのワインに加え、
カリフォルニア、南アフリカ共和国、チリなどのワインが多く並んでいるのですが、
こうした国々でワイン生産が盛んな背景には、地中海性気候という気候の特徴があります。

そして、地中海沿岸の食事と言えば、ワインに加えて、パスタやパンなど、
小麦粉を原料にした食べ物が多くありますよね。

お米は、夏場に大量の水が必要なので、地中海性気候には不向きな作物です。
代わりに、米よりも乾燥や低温に強く、冬の雨で栽培が可能な小麦が、地中海沿岸の主食となってきました。

コルクで栓のされたワインを飲みながら、パンにオリーブオイルをつけて食べる。みたいな食事は、地中海性気候の特徴が色濃く反映された食文化です。

最後に、地中海性気候の雨温図を見てみましょう。
ぱっと見の形は違いますが、どちらも地中海性気候のものです。

左側のローマは夏に乾燥していることが分かりやすいと思いますが、
右側のパースの場合、南半球なので季節は逆になることに注意してください。
12月から2月ごろの気温が高くなっている時期を夏と考えれば、
どちらも、夏に乾燥という条件に当てはまるため、地中海性気候となります。

2.温暖冬季少雨(Cw)
温帯の2つ目は、冬に乾燥する温暖冬季少雨気候、Cw気候区です。
このような場所に分布している気候で、
C気候の中では最も緯度が低い場所に見られる気候帯です。

メインの分布は、
東南アジアからインドのやや内陸に入ったこのあたりになります。

ここは季節風の影響を強く受ける地域で、
夏には海からの季節風で降水量が多くなり、
冬には内陸からの季節風で冷たく乾燥する地域です。

雨温図の例はこんな感じなのですが、
暖かく湿った季節風の影響で、夏場の雨が非常に多くなっています。
そのためCw気候は、冬に乾燥というよりも、
夏の雨がすごく多い気候、というイメージで捉えるといいかと思います。

なお、アフリカや中南米にもCwは分布していますが、
これらは基本的にはAwの続きだと考えてください。

アフリカの南部や、エチオピア周辺、メキシコやアンデス山脈周辺など、
平地であればAwになるような緯度なのですが、
標高が高い地形になっているために気温が下がって、
AwではなくCwになっています。

さて、Cw気候は植物の成長する夏に雨が多いため、農業には向いている気候です。
アジアでは、この雨を生かしてお米を年に2回収穫する2期作が行われている地域もあります。

さらに、Cw気候は「茶の気候」とも呼ばれるくらい、
お茶の栽培が盛んな気候でもあります。
気温の高い生育期には雨が多くて、
摘み取る時期には雨が少なくなるという気候がお茶の性質にあっており、
世界的なお茶の産地であるインドのアッサム地方やダージリン地方は
ちょうどCw気候帯に位置しています。

そして、Cw気候の植生は、照葉樹林と呼ばれます。
夏の多雨と冬の乾燥に耐えるため、こんな風に葉っぱがテカテカしている植物が照葉樹林です。こちらの写真はツバキですが、他にも、シイ、カシ、クスの木などが照葉樹林と呼ばれます。くすの木というのは、となりのトトロに登場する大きなモコモコした木、というとイメージできるでしょうか。日本でも西日本を中心に多く見られた種類なのですが、現在では人工林に変わっているために、一部の神社やお寺の周りなどを除いて、大規模な照葉樹林はほとんど日本では残っていません。
3.温暖湿潤気候(Cfa)

3つ目は、年間を通して雨が降り、最暖月平均気温が22度以上の、温暖湿潤気候、Cfa気候区です。

このように、主に大陸の東側に分布しています。
日本も、北海道以外の大部分はこのCfa気候に属しています。
そのため、日本の自然や暮らしをイメージすると、
Cfa気候の特徴がつかめるかと思います。

夏は海からの季節風で蒸し暑く、
冬は大陸からの季節風で寒く、
春夏秋冬の季節の変化が最もはっきりしている気候区です。

Cfa気候の植生は混合林と呼ばれます。
本州で、近くに山がある地域にお住まいであれば、冬でも葉っぱのついている木もあれば、そうでない木もあるし、葉っぱの細長い針葉樹林も混ざっているのが見られるかと思います。このように、冬に葉っぱの落ちる落葉樹、冬でも葉っぱの落ちない常緑樹、そして針葉樹の混ざった森林が混合林と呼ばれ、日本の多くの地域で見られる植生です。

土壌は褐色森林土となります。文字通り、森の地面に形成される褐色の土壌です。温度と水分のバランスが良く、落ち葉もたくさん落ちてくるCfa気候では、腐食が厚く肥沃な土壌が形成され、褐色森林土と呼ばれます。
4.西岸海洋性気候(Cfb)
最後の温帯は、年間を通して雨が降り、最暖月平均気温が22度未満の、西岸海洋性気候、Cfb気候区です。

分布はこのようになります。
緯度40度~60度のあたりに分布しており、C気候中では最も高緯度側に分布します。

ヨーロッパでは、イギリス全土と、ドイツやポーランドの周辺、それからノルウェー沿岸までを含む大陸西岸がCfb気候区になります。

緯度を変えずに日本を重ねてみると、Cfb気候区の多くが北海道よりも高緯度側に位置していることが分かります。
北海道は冷帯なので、Cfb気候の広がる大陸西岸は、
緯度が高い割に温暖な気候だと言うことができます。
これは、北大西洋海流という暖流の上を、一年中偏西風が吹いているためです。
海からの暖かい空気がやってきて、冬でもそれほど気温が下がりません。

Cfb気候の暮らしを眺めに、Google Earthでフランスのパリの町並みを歩いてみましょう。
古くからカフェの文化が根続いており、テーブルと椅子が外に置いてあるテラス席が多いですが、これも、夏でも涼しく、冬でも寒すぎないというCfb気候だからこそできることです。
日本でテラス席があっても、うだるような真夏の暑さや、冷たい冬の風の中では、屋外でのカフェはあまり快適とは思えないですよね。

さて、ヨーロッパ以外にも、偏西風の影響が強い場所でCfb気候が分布します。
南半球では、チリ南部や、オーストラリアの南東部、ニュージーランドの全域、
それから、アラスカの沿岸も、アラスカ海流という暖流の影響でCfb気候になっています。

Cfb気候の植生と土壌ですが、冬に落葉するブナの木などが植生の代表となるため、
土壌は、Cfa気候と同じく褐色森林土となります。

最後に、Cfb気候の農業について。
夏でも気温がそれほど上がらず、降水量も多くは無いので、
夏の高温と大量の水が必要な、稲作には向いていません。
加えて、ヨーロッパの場合には昔氷河に覆われていたために土地が痩せているので、
混合農業や酪農といった農業が発達してきました。
これらについては、農業分野の動画で改めて解説したいと思います。

はい、今回の動画は以上となります。
確認問題にチャレンジしたい方はURLはコメント欄からアクセスしてください。
また、感想や質問などもあれば、お気軽にお書きください。

それではまた次回!

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