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【高校地理】3-6. ケッペンの気候区分 | 3. 世界の気候

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公開日: 2020年12月25日

高校地理の授業動画「世界の気候」の第6回は「ケッペンの気候区分」です。
今回の動画では、そもそも気候区分とは何か、ケッペンの気候区分はどのような手順で判定するのかを解説をした上で、気候区分を実際に判定する練習をしてみたいと思います。

【目次】
0:00 イントロダクション
0:18 気候区分とは?
1:33 気候区分の分布
2:43 ケッペンの気候区分の判定手順
9:14 気候区分の判定練習

【確認問題】
https://forms.gle/G7k1v3v1hRmFpb2W6

【今回の動画の内容を文章と画像で確認されたい方はこちら】
https://www.geography-lesson.com/koppen-climate-classification/

【動画の目次はこちらのホームページから】
https://www.geography-lesson.com/

#地理 #気候 #ケッペンの気候区分 #地理B #ケッペン

そもそも気候区分とは、世界中で見られる色んな気候を、いくつかにグループ分けしてみよう、というものです。
そして、グループ分けの色々な方法のうち、最も広く使われているのがドイツの地理学者ケッペンという人の考えた方法です。
余談ですがこのケッペン、地形分野の「大陸移動説」で登場したウェゲナーの義理のお父さんにもあたります。
さて、ケッペンは世界中を旅する中で、遠く離れた場所であっても、気候が似ていれば植生も似ていることに気付きました。「植生」というのは、そこに育つ植物のまとまりのことです。
例えば、一年中暑くて雨がよく降る、という気候の場所なら、アフリカでも東南アジアでも、同じように「熱帯雨林」という植生が見られます。

そこでケッペンは、植生に一番大きな影響を与える「気温」と「降水量」という気候要素を基準にして、世界の気候を大きく5つ、A気候、B気候、C気候、D気候、E気候に分類しました。

このAからEというアルファベットはそれぞれ、
熱帯、暑い場所。乾燥帯、乾いた場所、温帯、あったかい場所、冷帯、寒い場所、寒帯、すごく寒い場所、を意味していて、赤道から緯度の高くなるにつれて、ABCDEというこの順番で分布しています。

大まかな分布を世界地図で見てみましょう。

熱帯のA気候は、一番低緯度、年中暑い赤道付近に分布します。
雨の多い場所では熱帯雨林が、雨季と乾季が分かれる場所ではサバンナが見られます。

乾燥帯のB気候は、サハラ砂漠やアラビア半島、アフリカ南部やオーストラリアなど、A気候よりも少し高緯度側に分布します。降水量が少なく、樹木は見られません。

B気候からさらに高緯度側に行くと、日本やヨーロッパのように暑すぎず寒すぎない場所となり、温帯のC気候が分布します。

もっと緯度が高くなってロシアやカナダまで来ると、寒〜い冷帯のD気候となります。樹木はギリギリ育つ気温なのですが、この寒さで育つ樹木の種類は限られるので、寒さに強い針葉樹林ばかりの広大な森林が広がっています。なお、ロシアやカナダに相当するな緯度は南半球では海なので、D気候は北半球にしか存在しません。

そして、北極、南極付近は、とっても寒い寒帯のE気候となります。

この世界全体での大まかなイメージをつかんだ上で、続いては、ケッペンの気候区分の詳しい判定手順を見ていきましょう。

2.ケッペンの気候区分

ケッペンの気候区分は、先ず、樹木があるかないかで大きく2つに分けられます。樹木があれば、AかCかD。樹木が無ければ、BかEです。

木が生えない理由は2つに分けられて、雨が少なすぎて、つまり乾燥が原因で木が生えない場所は、乾燥帯のB気候気温が低過ぎて、つまり低温が原因で木が生えない場所は、寒帯のE気候と呼ばれます。

B気候は、降水量によって、さらに2つに分けられます。少しは雨が降って、樹木は育たないけれど、草なら育つために一面草原が広がるような気候が、BS気候、ステップ気候です。イメージとしては、モンゴルのようなこんな景色です。

全然雨が降らなくて、樹木はおろか草もほとんど育たないような気候が、BW気候、砂漠気候です。砂漠と言っても砂の砂漠だけでなく、岩石が広がる場所も多いです。

樹木が生えるために最低限必要な降水量を「乾燥限界」と言うのですが、年降水量が乾燥限界未満から乾燥限界の1/2以上ならBS気候、乾燥限界の1/2未満の降水量ならBW気候となります。

この乾燥限界を判別する数式もあるのですが、計算してまで判定することは高校地理ではほぼ無いので、年降水量が、概ね500mm以下だとBS気候、その半分、概ね250mm以下だとBW気候、ぐらいのイメージで十分です。

続いて寒帯のE気候。寒すぎて樹木が育たないというのは、具体的には、最暖月平均気温、一番温かい月の平均気温が10度未満と定義されています。この数字は覚えておきましょう。たとえ冬が寒くても、夏場の気温が10度を越えればどうにか生きられる樹木もあるのですが、夏でも10度に達しないと、樹木は生きられません。

E気候はさらに、どれだけ寒いかで2つに分けられます。最暖月平均気温が0度〜10度が「ツンドラ気候」で記号はET。短い夏には氷が溶けて苔が生えたりするので、農業はできませんがトナカイの遊牧やアザラシの狩猟などで人々は暮らしています。

最暖月平均気温が0度未満の場合が「氷雪気候」で記号はEF。南極大陸のように雪と氷の世界で、基本的に人間は住んでいません。

なお、BS, BW, ET, EFと、樹木の無い気候の記号は、全部大文字であることに注意してください。

今後は、樹木のあるA, C, D気候を見てみましょう。こちらは、大文字のあとに、小文字のアルファベットをつけるので注意しましょう。

A、C、D気候は最寒月平均気温、一番寒い月の平均気温で分けられます。

最寒月平均気温が18度以上だと、一年中暑いということで、熱帯のA気候です。この18度というのは、ヤシの木が育つかどうかの境目です。

最寒月平均気温が−3度以上18度未満だと、温帯のC気候。そして、最寒月平均気温が−3度未満だと、冷帯のD気候です。

それぞれの細かい区分を見ていきましょう。A気候は、雨の降り方でさらに3つに分かれます。雨季と乾季がなく、一年中雨が降る、具体的には、一番雨の少ない月、最小雨月降水量が60mm以上の場所が、熱帯雨林気候と呼ばれ、記号はAfです。この写真のような植生が広がっています。

この小文字のfはドイツ語で「湿った」を意味する「feucht(フォイヒト)」という単語の略なのですが、「雨がふるふるAf気候」という語呂合わせで覚えちゃいましょう。

季節によって雨季と乾季が分かれて、弱い雨季と乾季があるのが「熱帯モンスーン気候」でAm。雨季と乾季がはっきり別れるのが「サバナ気候」でAwです。

サバナ気候では乾季には草が枯れて樹木の葉が落ちるので、乾燥に強いアカシアなどの樹木がまばらに生える、ゾウやキリンが歩いていそうなこんな感じの景色が広がります。このような植生を「サバナ」あるいは「サバンナ」と呼びます。

これらの小文字もドイツ語なのですが、覚える際にはモンスーンのmと、winter乾燥のwでいいでしょう。

C気候はちょっと多くて4つに分かれます。一年中雨が降るのが、湿潤を表す小文字のfをつけてCf気候。Cfはさらに気温で2つに分けられて、最暖月平均気温が22度以上だと、小文字のaをつけて、Cfa気候、温暖湿潤気候と言います。日本は北海道以外ほとんどがこのCfa気候に属します。
最暖月平均気温が22度未満だと、小文字のbをつけて、Cfb気候、西岸海洋性気候となります。
暖流と偏西風の影響で年較差の小さい大陸西岸、イギリスなどで見られることから西岸海洋性気候と言います。

C気候のもう2つは、雨の降る時期によって分けられます。夏に乾燥すると、小文字のsをつけて、
Cs気候、地中海性気候と言い、文字通り地中海周辺で特徴的な気候です。日差しの強い夏に雨が降らないので、家を白く塗ったこんな景色が見られます。逆に冬に乾燥する気候は、小文字のwをつけて、Cw気候、温暖冬季少雨気候と言います。

D気候は、一年中雨が降ればDf、亜寒帯湿潤気候、冬に乾燥すればDw、亜寒帯冬季少雨気候と言います。どちらも、冬の厳しい寒さに耐えられる針葉樹林ばかりの広大な「タイガ」と呼ばれる森林が広がっています。

このように、樹木のあるA, C, D気候では、2文字目につく小文字のアルファベットは降水量を表します。fは、湿潤を表していて、年中降水がある、sは夏に乾燥、wは冬に乾燥を表しています。

なお、これら以外にもDsとかAsなども実は存在するのですが、分布地域が極めて限られていますし、細かく分類し過ぎてもかえって特徴が見えにくくなってしまうので、高校地理では、ここで挙げた気候区分のみを覚えておけば大丈夫です。

また、A〜Eの気候区分以外に、標高の高い山などを表す「H気候」というものもあるのですが、ケッペンの気候区分とは別の区分になりますので、後ほど、別の動画で取り上げたいと思います。

3.気候区分の判定練習

では、この気候区分を、雨温図やハイサーグラフから判定する練習をしてみましょう。

先ずはこの雨温図を見てください。

棒グラフで表されている降水量を見てみると、雨は多い時期もありそうなので、乾燥帯では無さそうです。また、折れ線グラフで表される気温を見ると、全体的に高いので、寒帯でもなさそうです。

判定のために、気温の18度のところに線をひいてみましょう。
すると、一番寒い最寒月平均気温が18度より高いことが分かるので、
ここは熱帯、記号の1文字目は大文字のAだと分かります。

続いて降水量に注目してみると、
5月から9月くらいの降水量が極端に少なくて、
雨季と乾季がはっきり存在する場所であることが分かります。

よってこの雨温図は、熱帯で雨季と乾季のはっきり分かれた気候、
サバナ気候、Aw気候だということが分かります。

ちなみにこの雨温図は、オーストラリアのダーウィンという都市のものです。

続いてこちらの雨温図。(Cs)
先ほどと同じように、気温18度に線を引くと、
最寒月平均気温は18度を下回っていることが分かるので、
熱帯のA気候ではないと分かります。
そしたら今度は、C気候とD気候の境目となる、
気温−3度に線を引いてみましょう。
すると、最寒月平均気温は−3を超えているので、
D気候ではなく、C気候だと分かります。
今度は降水量に注目します。
雨の多い月は、11月、12月、1、2、3月と、気温の低い冬に多いようです。
逆に降水量が少なく乾燥している月は、気温の高い6~8月頃になっているので、この雨温図は、夏に乾燥するC気候ということで、Cs気候=地中海性気候と判定できます。
この雨温図は、イタリアのローマのものです。

今度はハイサーグラフ。
ハイサーグラフとはこんな風に、
縦軸に気温、横軸に降水量をとって、
1月から12月までの気温と降水量を、順番に線で結んだグラフです。
判定手順は雨温図と一緒ですが、今回の場合は、Cwと間違えないようにしましょう。
「夏」というのは「気温が高い時期」という意味なので、
このハイサーグラフでは、12月~2月頃が「夏」に相当するため、Csとなります。
オーストラリアのパースのハイサーグラフです。

気候区分の判定は練習を繰り返して、
この表を見なくても判定できるようになれば完璧です。

はい、今回の動画は以上となります。

気候区分判定の問題を含む確認問題にチャレンジしたい方は
コメント欄のURLからアクセスしてください。

感想や質問などあれば、コメント欄にお気軽にお書きください。

次回以降の動画では、
それぞれの気候区分の詳しい分布や人々の暮らしを
を一つずつ見ていきたいと思います。

それではまた次回!

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