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【高校地理】3-3. 季節風(モンスーン)、局地風、熱帯低気圧 | 3. 世界の気候

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公開日: 2020年8月07日

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高校地理の授業動画、「世界の気候」の第3回は、「季節風(モンスーン)、局地風、熱帯低気圧」です。

季節風の吹くしくみなどを、分かりやすく解説したいと思います。

前回動画の大気大循環では、
世界全体の大きな風の流れについて学びました。

しかし、風が吹く仕組みは、大気大循環だけではありません。
大気大循環をベースとして、それ以外にも様々な力が働くことで、
ある場所にどんな風が吹くかは決まります。

今回の動画では、大気大循環以外の風として、
季節風、局地風、熱帯低気圧をみていきます。

先ずは季節風。
季節風はモンスーンとも言いますが、
文字通り、季節によって向きが変わる風のことです。

季節風が最も顕著に見られるのは、
日本を含む東アジアから、東南アジア、インドなど南アジアにかけての地域です。

こちらの図のように、
7月には海から陸に向かって風が吹いています。
しかし1月になるとこのように風の吹く向きが変わって、
陸から海に向かって風が吹くようになります。

なぜ季節によって風向きが変わるのでしょう。
その理由は海と陸地の比熱の違いにあります。

2つ前の動画、世界の気温の動画の中にも比熱の説明がありますが、
海と陸地を比べると、海の方が比熱が大きいため、
海は温まりにくく冷めにくい、
陸地は温まりやすく、冷めやすいという性質があります。

そのため、夏になると、
海と陸地を比べると、陸地の方が気温が高くなります。
イメージとしては、砂浜のビーチは裸足で歩けないほど暑いけど
海の中は冷たいというような状態です。

すると、海より陸地の方が空気が温かくなって、
温められた空気が軽くなることで、上昇気流が発生します。

空気が上空に行ってしまうので、地表付近は空気が少なくなり、
低気圧帯となります。
そこの空気を補おうとして、海から陸地に向かって空気が流れ込みます。
こうして、夏は海から陸地に向かって風が吹くことになります。

冬には、これが逆になります。

陸地が寒くなる一方で、海はそれほど冷たくなりません。
すると、気温が高い海の方に上昇気流が生じ、海の上に低気圧帯が生まれます。
冷たくなって空気が下がってくる陸地側には、高気圧帯が生まれます。
こうして、冬は陸から海に向かって風が吹くことになります。

以上が、季節風の向きが夏冬で逆になる仕組みです。

ここまで聞いて、
「偏西風はどこに行ったの?」
と考えるかもしれませんが、偏西風は西から吹いてくるので、
ヨーロッパの方では偏西風の影響が大きいのですが、
大陸の上を通ると山にぶつかったり地面との摩擦が起こったりして、
ユーラシア大陸の東側では影響がすごく小さくなってしまいます。
そのため、東アジアから南アジアでは、
偏西風よりも夏と冬の気温差の方が、
風を引き起こす力として強くなるので、
季節風が吹くことになります。

こちらの映像は、地表付近で吹いている風を
リアルタイムで表示してくれるnullschoolというサイトの映像なのですが、
本日は8月1日、夏ですが、
南アジアから東南アジアにかけて、
先ほどの図のように
このように南西から北東に向かって風が吹いていることが確認できます。
なお、海から北に真っ直ぐに風が吹かないのは、
前回動画でも出てきた「コリオリの力」の影響によるものです。

さて、この季節風によって、東アジア、東南アジア、南アジアでは、
季節によって降水量が大きく異なります。

(降水量の図)

1月には大陸からの乾燥した風が吹くため、
降水量が少なくなっています。

しかし7月、夏には海からの風が吹くため、
湿った空気が流れ込んできて、
たくさんの雨が降ります。
季節風のもたらすこの雨が、アジアに稲作を支えてきました。

東アジアから東南アジア、南アジアは、
季節風の影響で季節によって降水量が大きく異なることから、
「モンスーンアジア」とも呼ばれます。

さて、7月の降水量の図の中で、
特に雨の多いこの地域、インド北東部の
アッサム地方やダージリン地方と呼ばれる場所に注目してみましょう。

この地域では、海から吹いてきた湿った風が、
ヒマラヤ山脈にぶつかって上昇することで雲ができて、
多量の雨がもたらされます。

このようなパターンの雨の降り方、
山に風がぶつかって上昇することで雲ができるパターンの雨を、
「地形性降雨」と言います。

この地形性降雨によって、
アッサム地方やダージリン地方は、
世界で最も雨の多い地域となっています。

世界一雨の多い場所の一つとして知られるインドのチェラプンジという場所は、
年平均降水量が10,000m超え、
過去最高記録では何と、1年間に26000mmという凄まじい量の雨が降りました。
東京の年降水量が約1500mmであることを考えると、
ものすごい量の雨であることが分かるかと思います。

アッサムティーやダージリンティという名前、
紅茶の銘柄として聞いたことがあるかもしれませんが、
この多量の夏の雨と、秋から冬の乾燥、
そしてヒマラヤ山脈に向かう山の斜面や涼しさが
お茶の栽培に適しており、世界的な茶の産地になりました。

なお、インド西側のこの部分も7月の雨が特に多くなっていますが、
ここも、ここにある西ハーツ山脈という山脈に季節風がぶつかることで雨が降る
「地形性降雨」の代表例です。

続いては、「局地風」です。

「局地風」とは、限られた地域、その地方にだけ吹く風のことです。

例えば、今私のいる群馬県では、
毎年冬になると山からとっても冷たくて乾燥した風が吹き降ろしてきます。
この風は「からっ風」と呼ばれています。

こんな風に、その地域にだけ特徴的に吹く風に
名前をつけて呼んでいるのが「局地風」です。

世界中色々なところで局地風は見られるのですが、
高校地理では主にヨーロッパの局地風をみていきます。

覚えておきたい局地風はこちら。
フェーン、ミストラル、ボラ、シロッコです。

この中で一番覚えておきたいのは、
「フェーン現象」の名前の由来にもなった風、「フェーン」です。

「フェーン」とは、南からアルプス山脈を越えて
スイスやドイツに吹いてくる暖かくて乾燥した風です。

断面図で見てみると、
先ず南から、地中海を通った湿った風が吹いてきて、
アルプス山脈にぶつかって、上昇していきます。

こうして上昇するときに空気の温度が下がりますが、
実は、気温の逓減率というのは、
平均は0.65℃と以前の動画で解説しましたが、
空気が湿っているほど小さくて、乾燥しているほど大きくなります。

例として、20度の湿った空気が、標高2000mの山にぶつかったとしましょう。
湿った空気の気温の逓減率は、0.5℃くらいです。
すると、2000mの上昇で10℃低下するので、気温10℃の空気になります。
しかし、上昇することで雲ができて雨が降るので、
山頂を超える頃には乾いた空気になっています。

乾いた空気では100mで1℃くらい温度が変わるので、
2000mの高さから降りてくると、温度が20℃上がって、
30℃の暑くて乾燥した空気になります。

このように、山を超えることで空気が暑く、乾いた空気になることを
「フェーン現象」といい、日本の夏にも見られる現象です。

その他の局地風についても見ていきましょう。
ミストラルとボラは、北から吹いてくるので、
乾燥した冷たい風です。
シロッコは、サハラ砂漠から砂と一緒に吹いてくる高温多湿な風です。
フェーン以外の局地風は、名前と場所、
それと、熱いか冷たいか、乾燥しているか湿っているか、だけ覚えておけば十分です。

最後は、熱帯低気圧です。

熱帯低気圧とは、ようは台風のことです。

台風が発生する詳しいメカニズムは理科にゆずるとして、
地理では、台風というのは、赤道近くの海で生まれて、
それが陸地の方にやってきて、いろんな被害をもたらす、くらいで考えて、
どこにどんな被害をもたらすのか見ていきましょう。

台風は、ものとしては同じなのですが、
場所によって異なる呼び方をされます。
日本にやってくるのは「台風」ですが、
インド洋や南太平洋では「サイクロン」
アメリカ南部では「ハリケーン」と呼ばれます。

熱帯低気圧は強い雨風をもたらしますが、
気圧が低下するため、海面が吸い上げられて「高潮」と呼ばれる現象がおきます。
高潮は、特に海抜の低い地域に、暴風雨とともに海水が入り込むような大きな被害をもたらすことがあります。

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