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【高校地理】3-1. 気候要素と気候因子、世界の気温 | 3. 世界の気候

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公開日: 2020年8月03日

#高校地理

#地理B
#気候

(2020.08.03誤字修正版をアップロード)
高校地理の授業動画、今回から新しい単元「世界の気候」です。

「気候」の単元の最初である今回は、
先ず「気候」の定義を整理し、
気候を構成する「気候要素」と、それに影響を与える「気候因子」について解説します。

そして、気候の三大要素の一つ、「気温」について詳しく見ていきます。

前回までの「地形」の単元と、この「気候」の単元を合わせて、
「自然地理学」と言います。

ある場所での人間の暮らし、産業、文化などは、
そこでの地形と気候の両方の影響を色濃く受けています。
「地形」と並んで、地理学習の基礎になる大切な単元なので、
頑張って勉強していきましょう。

「気候」とは何か
まずは気候という言葉の定義です。

「気候」と似た言葉に、天気、天候、気象などの言葉があります。

「気象」とは、晴れ、雨、みぞれ、など、
様々な大気の諸現象を表す言葉です。
大気の諸現象って何かと言うと、
例えば、上空に雲が無くて太陽が見えていれば、
その現象を我々は「晴れ」と呼んでいます。
雲から液体の水が降ってくるような現象は「雨」と呼びます。
こうした大気の様々な現象が、「気象」です。

そして、ある特定の場所や時刻における「気象」を、
「天気」あるいは「天候」と言います。
例えば「明日の東京の天気は曇りです。」とは言っても、
「明日の東京の気象は曇りです。」とは言いません。

では「気候」とは何かというと、
「ある場所で長期にわたって毎年繰り返される大気の総合的な状態」
と定義されます。

長期にわたって毎年繰り返される、という点がポイントで、
例えばある1日だけ晴れたり、ある年だけ雨が少なかったとしても、
それはその日の「天気」が晴れとかいうだけの話で、
「そこは乾燥した気候だ」
とは言えないわけです。

雨がすごく少ないのがその地域における「普通」と言えるくらい
何十年も毎年繰り返されたら、
「そこは乾燥した気候だ」
と言えるわけです。
(ここまで2分)
気候要素と気候因子

そして、気候を構成する要素は「気候要素」と呼ばれます。
例えば、
そこは暑い場所なのか、寒い場所なのかをあらわす「気温」
雨の多く降る場所なのか、乾燥した場所なのかをあらわす「降水量」
風の向きや強さ、湿度、紫外線の量、気圧、
こういったものが「気候要素」です。

これらの中でも特に、その地域の気候を特徴づける重要な要素として、
気温、降水量、風の3つが
「気候の三大要素」
と呼ばれます。

また、気候要素に影響を与える要因、
つまり、ある場所が寒いのか暑いのかとかを
決める要因、ファクターを
「気候因子」と言います。

緯度や標高、地形や海流、
それから「隔海度」といって海からどのくらい離れているか、などが
気候因子として挙げられます。

(ここまで3分)

世界の気温

それでは、気候の三大要素の1つ目「気温」について、
詳しく見ていきたいと思います。

(1)気温と緯度

まず気温のベースになるのは、
その場所の「緯度」です。

緯度が低い、つまり赤道に近い場所ほど気温が高くて、
緯度が高い、つまり北極南極に近い場所ほど気温が低い、
というのはイメージしやすいと思いますか、
その理由を、図を使って見ていきましょう。

地球を横から見た図です。
地球を温めているのは太陽ですが、
同じ量の太陽の光が、緯度の低い場所と緯度の高い場所に入ってきたとき、
緯度の低い場所では、
太陽の光がほぼ真上から入ってきます。

そのため、太陽の熱が狭い範囲にまとまってぶつかります。
虫眼鏡で太陽の光を集めると紙が燃えるように、
太陽の光は、狭い範囲に集まるほど熱くなるのです。
これが、低緯度地域は気温が高い理由です。

一方で、緯度が高い場所では、
太陽の光が斜めから、浅い角度から入ってきます。
そのため、同じ量の太陽の光が入ってきても、
広い範囲に薄く、ちょっとずつ熱が届くことになるので、
高緯度地域では気温が低くなります。
(ここまで4分)

(2)日較差と年較差

また、気温には、日較差と年較差という言葉があります。

日較差とは、1日の中での最高気温と最低気温の差。
例えば、最低気温20℃、最高気温30度の日なら、日較差は10℃です。

年較差とは、1年の最暖月平均気温(最も暖かい月の平均気温)と最寒月平均気温(もとも寒い月の平均気温の差のことを指します。
例えば東京の場合、一番熱い8月の平均気温が約27度で、一番寒い1月の平均気温が約5度なので、年較差は約22℃となります。1年の中での最高気温と最低気温の差ではないので注意してください。

低緯度地域では、1年を通して太陽が高い角度から降り注いでくるので、
1年間の中での気温の変化、つまり年較差が小さく、
年較差よりも一日の中での朝と昼の温度差、日較差の方が大きくなっています。

赤道直下の国、シンガポールの気温のグラフを見てみてください。
1年を通してほとんどまっすぐになっています。

逆に、緯度が高い国では、季節によって太陽の差し込む角度が大きく変わるため、
年較差が大きくなります。
シンガポールは1年中暑くても、緯度が高くなった日本では春夏秋冬と
季節によって気温の変化がはっきりとありますよね。

このように、緯度が高くなるほど年較差は大きくなり、
気温のグラフは上下の幅が大きくなります。

(ここまで5分40秒)
(3)気温と標高

「緯度」に加えて、「標高」も気温に大きな影響を与えます。

富士山の上には春になっても雪が残っているように、
緯度が同じであっても、
標高の高い場所ほど気温は低くなります。

そして、標高が上がるにつれて気温が下がる割合のことを、
「気温の逓減率(ていげんりつ)」
と言います。

湿度などの条件によってこの逓減率は変わるのですが、
「100m上がるごとに0.65℃気温が下がる」
という数値が気温の平均逓減率としてよく使われます。

例えば、例えば標高3000mの山に登ったら、
0.65℃×30=19.5℃で、約20℃も気温が下がることを意味します。

標高が上がるほど気温は下がる、という性質を生かして、
低緯度地域では標高の高い場所に都市が古くから発達してきました。

一例として、南米のエクアドルの首都、キトという都市があります。
なんと、街のある場所は標高2,850mもあります。

そのため、赤道直下にあるので年較差は小さいものの、
一年を通じて平均気温は15度程度と涼しくて過ごしやすい街になっています。

(4)気温と隔海度

気温に一番大きな影響を与えるのは、今見てきた
「緯度」と「標高」なのですが、
他に、「隔海度」というのも重要な気候因子です。

「隔海度」とは、海からどのくら離れているか、を表す言葉で、
海から離れている、つまり内陸にいけばいくほど隔海度は大きい、
海に近ければ、隔海度は小さいと表現します。

この隔海度が違うと、気温の上がりやすさ、下がりやすさが変わるんですね。

海と陸地、つまり水と岩石を比べてみると、
水より岩石の方がずっと温まりやすく、冷めやすいんです。

もう少し正確に言うと水の方が比熱が大きいとも言えるのですが、
気温40度の真夏に海に行くと、砂浜は裸足で歩けないくらい暑いのに
海の水がお風呂のように熱くなることはありません。
これは、同じ量の太陽の光を受けても、
砂はすぐに温まるけれど、水はなかなか温まらないためです。

同様に、気温マイナス10度の真冬に、
地面は凍っても、海の水がマイナス10度まで下がることはありません。

このように、
海は、温まりにくく、冷めにくい。
陸地は、すぐ熱くなるし、すぐ冷たくなるという特徴があります。

(5)海洋性気候・大陸性気候

この、海と陸地の温まりやすさ、冷たくなりやすさの違いによって、
海洋性気候、大陸性気候というものが生まれます。

海洋性気候というのは、
海に近い、隔海度が小さい地域で見られる気候のことで、
海の影響を受けるために
夏と冬の気温の差があまり大きくなりません。
気温の年較差が比較的小さい気候のことです。
気温の変化がマイルドな気候のことです。

一方で、大陸性気候というのは、
内陸にあって海から遠い、隔海度の大きい地域でみられる気候のことで、
夏は暑くて冬は寒いという、
気温の年較差が大きく、ワイルドな気候のことです。

例として、緯度も標高も同じくらいの3つの都市
ロンドン、キエフ、チタの気温を比べてみましょう。

海に囲まれたロンドンは、
冬でもあまり気温の下がらない、海洋性気候となっています。

海から少し遠くなったキエフでは、
気温の年較差がロンドンよりも大きくなります。

そして、内陸に大きく入って隔海度の大きいチタでは、
冬の気温がマイナス30℃近くなり、年較差が非常に大きな大陸性の気候となっています。

同じ緯度でも、年較差が小さければ海の近く、年較差が大きければ内陸部、
と考えられるようになりましょう。

ちなみに、やや雑学的な内容ではあるのですが、
日本の47都道府県の県庁所在地の中で、
過去最高気温が最も低い場所はどこだと思いますか?
意外かもしれませんが、沖縄です。
沖縄は暑いイメージがありますが、周りを海に囲まれた海洋性気候なので、
夏でもそれほど気温が高くならないんですね。
(6)1月・7月の等温線

 さて、地図上で、気温が同じ場所を線で結んだものを、等温線と言います。
 
 こちらの2枚の図、片方が1月の等温線で、もう片方が7月の等温線なのですが、
どちらが1月で、どちらが7月でしょうか?
 正解は、こちらが1月で、こちらが7月です。

見分けるポイントはいくつかあるのですが、
注目してほしいのは、等温線の形です。

上の図の等温線を見ると、ユーラシア大陸や北米大陸では、
等温線が低緯度側に向かってカーブしています。
こんな風に気温ごとに色分けしてみると分かりやすいですが、
低緯度側に向かってカーブしているということは、
同じ緯度上では、内陸部分の方が気温が低いことがわかります。

海沿いより内陸のほうが、夏は熱くなりやすいし、冬は寒くなりやすい。
という特徴があったことを思い出すと、
内陸部分の方が寒いというのは、冬の気温だと判断できるので、
これは北半球が冬、1月の等温線だということが分かります。

逆に、下の図の等温線を見ると、等温線が高緯度側に向かってカーブしているので、
同じ緯度上では、海沿いよりも内陸部の方が気温が高いことが分かります。
内陸部分の方が暑いというのは、夏の気温だと判断できるので、
こっちは北半球が夏ということで、7月ということになります。

(7)熱赤道

気温の最後に、熱赤道というものを紹介します。

熱赤道とは、それぞれの経度上で、年平均気温が最も高い場所を結んだ線です。
たとえばこの経度上では、平均気温が一番高い地点はここ、ということを意味します。

このように、赤道よりもやや北に熱赤道は位置します。
これは、北半球の方が陸地の比率が多いためです。
同じ量の太陽エネルギーを受け取ったとき、
陸地の方が温まりやすいので、熱赤道もやや北に位置することになります。

はい、今回の動画は以上となります。

なお、今回の動画に関する確認問題もGoogle Formで用意しましたので、
チャレンジしたい場合は、コメント欄にあるURLからアクセスしてください。

次回の動画は気候の残る三大要素、風と雨についてです。

感想や質問などあれば、コメント欄にお書きください。
それではまた次回!

説明文の続きを見る

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