今回のゲストはタカタ先生!
お陰様で第5回目の「直撃!スタディチューバー」を迎えました。第5回目のゲストは、お笑い芸人でありながら数学教師でもあるという異色の教育YouTuberタカタ先生でーす!
タカタ先生
はい、こんにちは。
・・あ、あれ?「いえぇ〜〜〜い、タカタ先生だヨ~~~~ン!」みたいな感じじゃなくて?
今日はね、真面目に語らせていただこうかなと。
お、おお!それはそれで楽しみです!っていうかそっちの方がじっくり話を聞けそうで良かったです!笑
どうぞ、何でも聞いてください。
ありがとうございます!というわけで、本日はタカタ先生に真面目にお話を伺いまーす!
「お笑い」or「数学」
タカタ先生にまず伺いたいのは、一体何がどうなってお笑い芸人と数学教師を両立する現状に至ったのか?ってところなのですが、その辺の経歴を聞かせていただいていいですか?
元々ね、学生の頃から僕はお笑いと数学が大好きだったんですよ。
あ、学生時代からなんですね。
だからお笑い芸人か、数学の先生のどっちかになりたかったんですよね。高校卒業後の進路を決める時に、どうしようかな〜って。
「お笑い」か「数学」か、二者択一、人生の分かれ道ですね。
そうです。まあやっぱり大学は出てる方がいいと思ったので、とりあえず東京学芸大学の教育学部に入って数学の先生になる為の勉強をし始めたんです。
まずは手堅く普通の大学生に。
けど大学在学中に、素人としてお笑いのイベントとかオーディションみたいなのに出たりはしてたんですよ。やっぱりお笑いは好きだったんで。
あ、そうなんですね。お笑い芸人も目指しつつですね。
そうですね。そういうイベントとかに出てたら、フリーの芸人さんでも面白ければ事務所からオファーがあったりするので、僕の目論見としては在学中にどこかから声がかかればお笑いの道に行こうかなと思ってたんですよ。
なるほど。
けどまあ結果的に、お笑いの世界は凄い人がいっぱいいますから、箸にも棒にもみたいな感じで4年間が過ぎて、どこからもオファーが来ることもなく大学卒業ってことになったんですよね。
なかなか厳しいものなんですね。
ナイツさんとかひろしさんとかも当時居ましたからね。
おお、すごい!
やっぱりああいう売れる人たちっていうのは才能も努力も違うなと思いますね。
そうなんですね。
で、とりあえず大学を卒業して非常勤で数学教師になったんです。
一旦はお笑いの道を諦めたんですね。
そうですね。けど数学教師も元々やりたかったので、嫌だったわけではないですし一生懸命やったつもりだったんですけど、なんか上手く行かなくて。。
どういった部分が上手く行かなかったんですか?
生徒との関係性っていうんですかね、なかなか思うように行かなくて心が折れちゃって。。結局1年で教員を辞めちゃったんです。
あらら、そうなんですね。
で、やっぱり自分はお笑いがやりたい、もっと本気でお笑いをやろう!と思って、吉本の養成所に入ったんです。
お、いよいよ吉本芸人になったんですね!
え?ちょっと待ってくださいよ?ということは、高校の先生が吉本に入ったという話ではないんですね?
逆ですね。お笑い芸人が教師になるって話です。
えー、想像してたのと逆でした。笑
続きをお願いします。
「お笑い」×「数学」
で、芸人として最初はコンビ組んでやってたんですけど、2年ぐらいやって、まあ芽が出ないままいろいろあってコンビを解散することになったんですよ。
解散。。
で、ピンでやってこうかなってことになって、そのタイミングで結婚もすることになったんですよ。
な、なんかいろいろ一気に来ましたね。
まあそれでこれからの人生どうしようかなって真剣に考えて、芸人だけでは全く食える状態じゃなかったんで、結婚するとなったら収入をなんとかしなきゃなんないし。
ですよね。
そこで、芸人と高校教師の二足のわらじっていう選択肢が自分の中で出てきたんですよ。
お、ついに2つの夢が交わる?!
で、まず吉本に相談したんですよ。「結婚することになって、芸人の収入だけじゃ食べていけないので、非常勤で高校の先生もやっていいですか?」って。
ほう。
そしたら「めっちゃいいじゃん!」って言われたんですよね。現役教師のお笑い芸人なんて前例が無いし、とりあえずやってみよう!ってことになって。
おお、新境地を開いたわけですね。
10000時間の法則ってあるじゃないですか?
10000時間やればプロになれるみたいな?
そうです。自分の場合、数学とお笑いに関してはそれなりに時間をかけてやってきたと思うんですけど、お笑いは僕よりもっと凄い人がたくさんいるし、数学ももちろんもっと凄い人がいます。でも、お笑いと数学両方ってなると、もしかしたら日本一取れるんじゃないかな?って。
なるほど。「お笑い」と「数学」の掛け算ですね。
正直、芸人としてもなかなか方向性が見えない状態だったので、吉本も「それで行こう!」ってなってくれて、何より教員としての収入があれば芸人の活動もなんとか続けられるし、やってみる価値あるなって。
全てのピースがカチっとハマった瞬間ですね!
吉本芸人が高校教師に?!
けど、問題は吉本の芸人さんが高校教師に採用してもらえるのか?ってところだと思うのですが?
そこはあえて言わずに入りましたね。
ええ〜!極秘潜入?
というか非常勤の教員は、別に副業はアリなので学校以外の面で縛られることはないし、特に全て報告する義務もないので、あえて言わなくてもいいかなって。
あ、そうなんですね。じゃあ吉本芸人という身分を隠して普通に教員として就職したわけですね。
まあ、そうなりますね。
けど他の先生方にバレなかったんですか?
それがですね、まあもちろん芸人としても活動してましたし、ネットで検索すれば普通に出てきてたので、ある日、ある生徒が僕の正体に気づいたんですよ。
おお!面白くなってきましたね。
ある日、授業が終わってから一人の生徒が僕のとこに来て、誰にも聞こえないように小さい声で「先生、吉本なんですか?」って聞いてきたんですよ。
やばい!笑
うわ、バレちゃったと思って、まあ嘘ついても仕方ないし、けどあんまり大っぴらになってもどうかと思ったので、「そうだよ。」って感じで声には出さず目で伝えたんですよ。
皆に言うなよ。みたいな。笑
そしたらその子が、たぶん学校にバレたら先生がクビになるみたいに思ったんでしょうね、「この事は絶対誰にも言いません。先生と僕だけの秘密です。」みたいなことを言ってくれたんですよ。
めっちゃいい子じゃないですか。笑
そうなんですよ。僕もちょっと嬉しくなっちゃって、その子のクラスの授業ではちょっといつもより多めにボケたりしてたんですよ。ちょっとでもその子を楽しませてあげようと思って。
いつもより多めにボケる。笑
そしたらその子がまた授業終わりに僕のとこに来て、「先生、あんまり授業中ボケたら芸人ってバレますよ。」って言ってきて。笑
めっちゃアドバイスしてくれてるじゃないですか。爆笑
ま、そんなこともあったりしながら、その学校はいろいろ事情があって一年で辞めることになったんですよ。で、最後に教員の先生方が送別会をしてくれたんですよ。
ほうほう。
その送別会の席で、もう最後だし「実は僕、吉本に所属してお笑い芸人もやってるんです。」ってカミングアウトしたんですよ。
そりゃ皆さん驚いたでしょう。
そしたら「知ってましたよ。」って。
えー、バレてたんですか。
そうなんですよ。まあ、授業はちゃんとやってましたし、特に吉本だからって問題になるようなことも無かったので、波風立たないようにあえて触れないようにしてくれてたんでしょうね。
へー、生徒にも同僚の先生方にも愛されていたんですね。
「お笑い芸人」×「数学教師」
やっぱり普段から、数学の授業にもお笑いの要素を取り入れながら、楽しませるような授業をしているんですか?
そうですね。よくお笑い芸人と数学教師っていう全く別の2つの仕事をしていると思われるんですけど、僕の中ではそうじゃないんですよね。
と言いますと?
結局、自分の中でテーマは「数学」なんですよ。それを面白く伝えたいっていうのが全てなんですよね。
お笑いのステージも、数学の授業もそこは共通する部分なんですね。
そうなんです。もちろんお笑いのステージではその「面白要素」をより濃くするし、授業では面白要素よりも「役に立つ」とか「分かりやすい」とかっていう方向を濃くするっていう濃度の違いみたいな。
なるほど。本質的には同じようなことをしていると。
そうですね。最初、新卒で教員になった時は、上手く行かなかったって言ったじゃないですか。
あ、吉本に入る前に先生になった時のことですね。確か一年で心が折れてしまったと。
その時って今思えば、自分の理想の授業みたいなものを押し付けていたような気がするんですよね。
押し付ける?
数学が好きで得意だった自分の感覚で、分かりやすいとか面白い授業というのをやってしまっていたんじゃないかなと。
あ、聞く側の視点ではなく、自分目線で語ってしまっていたんですね。
数学ができる生徒からは割と支持されていたんですよ。すごい分かりやすいって。けど数学が苦手な生徒からはあまり支持されなくって。
なるほど。
で、分かんないのは生徒がちゃんと聞いてないからだって思って、やり方を変えずにやってたんですよね。
自分は理想的な授業をやってると思い込んでいたわけですね。
それからまあ芸人になって、お笑いライブなんかを経験するわけじゃないですか。そういうライブってウケるかどうかが全てだし、いくら自分が面白いだろっ!って考え抜いた理想のネタを見せたところで滑ったらそれが全てなんですよ。
自分がいくら面白いと思っても、お客さんが笑わなければダメなんですね。
そうなんです。お笑いのステージ上ではとにかくウケる滑るっていう結果がすごい残酷に出るんですよね。
いやぁ、本当そういう意味では芸人さんって勇気が要りますよね。
けどそういう場で揉まれたことで、結局ウケてなんぼだなっていうのを学んだんですよね。いかに目の前のお客さんに笑ってもらえるか、客層なんかも見極めながら、このお客さんならどういうネタで笑ってもらえるか、っていうのを考えてやらなきゃなんないなって。
なるほど。それが数学の授業に通ずるものがあると。
この方法で教えたら分かるだろっていう自分本位な授業をするんじゃなくて、目の前の生徒の反応をちゃんと見ながら、付いてこれるように興味を持ってもらえるように工夫して授業をするようになりましたね。
へぇ、めちゃくちゃ良い先生ですね。例えばどんな工夫をしたんですか?
教科書通りのやり方が分からない子には、ちょっと裏技みたいな違うやり方を教えてあげたりだとか。
あ、最近、動画でもそういうの上げてますよね?あれすごい面白いなと思います。
あとは歌で覚えられるように自分で歌を作って歌ったりだとか。笑
【学校の授業】ギターの弾き語りで数学を教える【三角形の五心】(タカタ先生)
ちなみにこの動画に上げてるのは授業中なんですか?
そうです。笑
こんな授業、見たことないです。笑 よく校長先生に怒られないですね。笑
一応、上の許可はもらってるんですけど、実は一度、生徒みんなで大合唱になっちゃって隣りのクラスの先生に怒られたこともありました。笑
そりゃ怒られるでしょう!笑
今後の活動について
これからもお笑い芸人と数学教師という二足のわらじで活動していく感じなんですか?
そうですねぇ。今、ちょっと悩んでる部分もあってですね。
あ、そうなんですね。
二足のわらじって言ってるけど、実際はおかげ様でいろんな活動をやらせて頂いてるんですよ。
へぇ、例えばどんな活動なんですか?
日本お笑い数学協会っていう僕が作った協会があるんですけど、その協会主催で親子向けの算数イベントや教員向けの勉強会をやったり、あと本を出したり。
あ、知ってます!「笑う数学」って本ですよね。
笑う数学 - Amazon.co.jp
そうですそうです。あとは探究学舎っていう塾で週一で講師をさせてもらったりだとか。
探究学舎?どういった塾なんですか?
受験指導ではなく、子どもたちの興味開発に重きを置いた授業をするんですよ。子どもたちが「もっと知りたい!」って自分から勉強をしたくなるような。
へぇ面白いですね!興味を持てば子どもたちは勝手に吸収して覚えていきますもんね。逆にやりたくない勉強させても効率が悪いし本人も面白くないですしね。
そうです。「算数、数学って面白い!」と思ってもらう為の授業ですね。
へぇ、いろいろ活動されてるんですね。ロマ数みたいなイベントの司会とかもよくされてますしね。ちょっと忙しすぎじゃないですか?
いやでも普通に寝てますし、無理にやらされてるわけじゃないから忙しいっていう感覚ではないですよ。
凄いバイタリティですよね。
ただ最近はYouTubeももっと力をいれたくて頑張ってるんですけど、なかなかその時間が取れないんですよね。体力的には大丈夫なんですが、もっと時間が欲しい!って感じです。笑
24時間じゃ足らないって感じですね。じゃあ、もしかしたら教師を辞めるかも知れないのですか?
まあ、まずは睡眠時間を削るところから。笑 教師は可能な限り続けるつもりです。生徒もすごい楽しそうにしてくれてるのでできれば辞めたくはないんですよね。
今、ものすごい充実していますよね。いい意味で爆発寸前って感じがします。もし先生を卒業することになったら、タカタ先生はさらに飛躍するような気がします。
ありがとうございます。これからも一歩ずつ頑張っていきたいと思います!
本日はお忙しい中、本当にありがとうございました。タカタ先生ならではの面白いお話をたくさん聞かせて頂けて良かったです!
いえいえ、こちらこそありがとうございました。
これからもタカタ先生らしい楽しい授業を配信してくれるのを期待しています。本日のゲストはタカタ先生でしたーー。
さようなら〜。
ありがとうございました
タカタ先生のお笑いと数学に掛ける情熱はまさに半端じゃありません。「二兎追うものは一兎も得ず」と言いますが、本気で追えば二兎とも得られることもあるんだなと認識を改めさせられました。これからもお笑いと数学を足すだけでなく、掛け算することでもっと大きな効果を生むタカタ先生ならではの楽しい授業を作り上げていっていただきたいと思います。タカタ先生、ありがとうございました!
※「直撃!スタディチューバー」は一旦、休止させていただきます。また時期を見て再開する予定ですので、今後ともよろしくお願いします。