Search image

【高校化学】化学量①「相対質量と原子量」【理論化学/化学基礎#9】

高評価: 281件

再生: 13,789回

公開日: 2020年5月13日

ついに化学基礎後半戦。まずは計算の準備から。
①相対質量と原子量(イマココ)
②物質量(準備中)
③濃度(準備中)
④化学反応式の導入(準備中)

【Keyword】
相対質量、原子量、分子量、式量

【なぜ炭素12が基準に?】
原子という概念が生まれたとき、原子を区別する方法は「質量」でした。もちろん原子の構造なんてわかっていない時代ですから、原子を区別する方法と言ったら重さくらいですよね。ということでドルトンが原子説を唱えたとき、当時最も軽い原子だった水素を1として原子量が定義されました。

かなり大雑把に話しますが、当時の原子量の測り方はこんな感じ。まずは2gの水素を燃やして発生するH2Oの重さを測ります。すると18gだったとしましょう。18gのうち2gは水素だったはずだから、残りの16gが酸素Oの原子量だとわかる、という感じ。
(相当噛み砕いていますが。)

ただ水素を1とするにはいろいろ問題がありました。一つは誤差が大きくなってしまうこと。一番軽い水素を基準にしてしまうと、誤差の影響が大きくなります。例えば水素を測ったときの誤差がδだとすると、水素の原子量は1±δ、酸素の原子量は16(1±δ)=16±16δとなります。このように大きい原子量になるほど誤差が大きくなります。

そして他には測定に関する問題もあります。さっき言ったように、この時代の原子量の測り方と言ったら水素を含む化合物を使う必要があります。例えば酸素はほとんど全ての原子と化合物を作れるので、酸素が基準だった方が考えやすいのになー…、みたいなこともありました。

ということで原子量の基準は酸素に置き換えられます。だから化学史の長い間は、酸素を基準に考えられていったんです。

しかし酸素が基準の時代にも暗雲が。「同位体の発見」です。より正確には、今まで基準と考えてきた酸素は酸素16、酸素17、酸素18が混ざっていたんです。これはめちゃくちゃ面倒くさい。なぜかというと、既にいろんな元素は酸素を基準に測定されていたので、基準を酸素16などに置き換えたりしてしまうと訂正が面倒くさすぎです。でも基準が曖昧なのも許せいない。

そんなごちゃごちゃの結果なんと「物理学者は酸素16を基準に、化学者は酸素を基準にする」という意味不明な状況になります。ちなみに前者を物理学原子量、後者を化学的原子量と言いますが、動画内では前者を相対質量、後者を原子量と呼んでいます。

何はともあれカオスな時代が数十年過ぎてふと冷静になります。
「てか基準、酸素じゃなくてもよくね?」
ということで提案されたのが炭素12。当時かなりの精度で質量がわかっていた炭素12を物理学者が提案。酸素→酸素16に基準を変えたときは今までの文献の値を訂正する必要があるレベルで値が変わってしまいましたが、酸素→炭素12の変更では0.003%しか変わらない。ということで、物理学者も化学者も炭素12を基準に考えることになります。

もちろん、現代の測定技術がある環境であれば、炭素12以外でも基準にはなるかもしれません。しかしそもそも昔は発見されていた元素も少ないし、測定方法も限られていたことなどもあり、歴史の経緯で炭素12が基準になっているということですね。

--------------------------------------------------------------------------------
【個別指導をご希望の方はこちら】
http://www.jukenmemo.com/kobetsu/

【受験メモWebsite】
トップページ
http://www.jukenmemo.com/

【Twitter】
https://twitter.com/jukenmemo

【楽曲提供】
Production Music by http://www.epidemicsound.com

【その他ご連絡等はこちら】
jukenmemo@jukenmemo.com

説明文の続きを見る

Unnamed受験メモ山本

Something理論化学/化学基礎連続講座

  1. なぜ化学の知識が定着しない?【化学基礎/理論化学#0】
  2. 【高校化学】原子の構造①「原子核の構造、原子と元素の違い」【理論化学/化学基礎#1】
  3. 【高校化学】原子の構造②「周期表と電子配置」【理論化学/化学基礎#2】
  4. 【高校化学】原子の構造③「元素の性質〜イオン化エネルギーと電子親和力〜」【理論化学/化学基礎#3】
  5. 【高校化学】分子と結晶①「分子ができる理由」【理論化学/化学基礎#4】
  6. 【高校化学】分子と結晶②「分子が結晶を作る理由」【理論化学/化学基礎#5】
  7. 【高校化学】分子と結晶③「化学結合と結晶」【理論化学/化学基礎#6】
  8. 【高校化学】物質の種類①「単体と化合物、純物質と混合物」【理論化学/化学基礎#7】
  9. 【高校化学】物質の種類②「同素体SCOPの性質」【理論化学/化学基礎#8】
  10. 【高校化学】化学量①「相対質量と原子量」【理論化学/化学基礎#9】
  11. 【高校化学】化学量②「物質量(モル)」【理論化学/化学基礎#10】
  12. 【高校化学】化学量③「濃度(質量パーセント濃度、モル濃度)」【理論化学/化学基礎#11】
  13. 【高校化学】化学量④「化学反応式の導入」【理論化学/化学基礎#12】
  14. 【高校化学】酸と塩基①「酸と塩基の性質」【理論化学/化学基礎#13】
  15. 【高校化学】酸と塩基②「酸と塩基の強さpH」【理論化学/化学基礎#14】
  16. 【高校化学】酸と塩基③「中和反応の仕組み」【理論化学/化学基礎#15】
  17. 【高校化学】酸と塩基④「中和滴定~理論編~」【理論化学/化学基礎#16】
  18. 【高校化学】酸と塩基⑤「中和滴定~実験準備編~」【理論化学/化学基礎#17】
  19. 【高校化学】酸と塩基⑥「中和滴定~実験編~」【理論化学/化学基礎#18】
  20. 【高校化学】酸と塩基⑦「酸と塩基と塩の定義と性質」【理論化学/化学基礎#19】
  21. 【高校化学】酸化還元反応①「酸化剤と還元剤の性質」【理論化学/化学基礎#20】
  22. 【高校化学】酸化還元反応②「酸化還元反応の仕組み」【理論化学/化学基礎#21】
  23. 【高校化学】酸化還元反応③「酸化還元反応の量的関係」【理論化学/化学基礎#22】
  24. 【高校化学】酸化還元反応④「酸化剤と還元剤の強さ」【理論化学/化学基礎#23】
  25. 【高校化学】酸化還元反応⑤「酸化還元反応の応用(電池)」【理論化学/化学基礎#24】
  26. 化学基礎の講義、お疲れさまでした!【化学基礎/理論化学#25】

Pickup iconPick upチャンネル

タブレットで書いたとは思えない丁寧で読みやすい字!そして分かりやすい説明!画面構成上、地味と言えば地味ですが、むしろ必要十分と言えるコンパクトな問題解説動画です。

Studytube icon 96ログイン

Interview header 360 Question header 360
Studytuber banner 300

Studytube icon 96チャンネル登録

教育系のYouTubeチャンネルを運営されている方はチャンネル情報の登録に是非ご協力ください。ログイン後、読み込みボタンをクリックすることでチャンネルデータが自動で読み込まれます。

Studytube icon 96ご意見・ご感想

※お返事が必要な場合はお問い合わせからお願いいたします。